日本全国俳人叢書92 「三枝青雲集-青き肺」 近代文芸社 1991-3-10発行 |
・肺青くなるまで浸り海開き ・親不孝許すといふまで墓洗ふ ・長身の足より目覚め別れ霜 ・乗込みの水のあけぼの乱しけり ・蝌蚪生まる山田に尽きる山の径 ・商ひに執す衣を更へにけり ・誇るものなくて働く啄木忌 |
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句集「鴇ケ嶺」 本阿弥書店 |
・鴇ケ嶺の林道さくらまたさくら ・濡れてゐるときが倖せ甘茶仏 ・初蝶にまだ領域のなかりけり ・返り花野心なしとは言ひきれず ・かなかなに呼び止められし北柿の忌 ・潜り戸は風の抜けみち秋さくら |
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句集「海」 文學の森 2006-4-24発行 |
・初かもめ百里を飛んで九十九里 ・頼られて生きるは大事なづな粥 ・天国にゆくには足りず凧の糸 ・花明り水あかりしてわが家郷 ・還暦は水の如しや花わさび ・花満開余生に揺らぎなかりけり ・桃の花甲斐の盆地をふくらます ・尺取りに余生の尺をとられけり |